ものおもいのほほん

ゆるゆるとおもいのまま

無言で太巻きを食らう夜。

 

今週のお題「鬼」

人のことを鬼呼ばわりするのは、悪行イメージの増幅が楽だからだろうか。

 

いつも人にきついことを言う鬼のようなヒト。

人のことを考えない鬼のようなヒト。

いつも不機嫌そうな顔している鬼のようなヒト。

自分のことは棚に上げて他人を悪く言う鬼のようなヒト。

 

鬼と付けるだけでひどくイメージが悪くなるもんだ。

人と結びつけるのは人を悪く言う使い方なので、

安直な表現のわりにひどく相手を貶める。

無責任に気安く使いたくないものだ。

 

古くから日本では、鬼というのは「なじみ」が深い。

愛着がわくものだ。

妖怪の仲間のように扱われているが、鬼のルーツをたどれば

『正体見たり』・・・人である。

 

架空のキャラクターなのだ。人ではないけどヒトのよう。

ドラえもんみたいなもんだ。

どちらも愛嬌はあるが、かわいいとは思えないのも同じ。

うる星やつらラムちゃんの方がいいかもしれないが…

  鬼はやい 鬼つよい 鬼かわいい とかここ10年程前からに使われているようだが
  今回は割愛しときます。
鬼かわいいはラムちゃんからきているのだろうか?

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人里離れた山深い私の郷里のお寺では、毎年、おとそ気分も抜けきれない1月7日に『鬼払い』という行事が行われる。

 その日は、夜の8時に暗い本堂に

老若男女大勢の訳払いを願う人が集まる。

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地元の村の『若い衆』が、前もって大酒を飲んで、千鳥足の二つ手前辺りで

古くから伝わる鬼の面をかぶり、本堂の中を松明を片手に雄たけびを上げながら、

人を怖がらせ暴れまわるのだ。

『若い衆』とはいっても、そこは過疎化の進む田舎のこと。

四捨五入ではないが、50歳近くであっても若い衆の仲間入りだ。

 

行事といっても地元では有名な、お祭りのようなもので

大勢の見物客でにぎわうのである。

秋田のなまはげみたいなもんである。

 もしかして起源を遡ると【パクリ】かもしれないが、すでに何百年続いている。

なまはげのパクリであったとしても長年続いている既成事実もあるので

許してほしい。

 

鬼というのは、戒めであり、時には神様のような親しみのあるもの。

 

決して『鬼のようなヒト』という、鬼を悪者にする表現には

使いたくないものだ。

 

節分の夜、豆もまかずに無言で鯖の太巻きを食らいながら

思いを巡らせた。

 

 

 貴重なお時間

お付き合いいただき

ありがとうございます。