ものおもいのほほん

ゆるゆるとおもいのまま

子供の頃の不思議な体験

今週のお題「告白します」

会社の後輩が、煙の出ないたばこを片手に咳込みながら

「焼肉食いたいっすよねー」と何の前触れもなくほざく

 

「そりゃ焼肉おごってくれっチューことか?」と

速攻で突っ込みを入れる

 

「たばこやめたいんすよね~」と話題が変わる

・・・なんだこいつ話がみえないし

それにタバコ吸いながら言うセリフではない

 

つっこみあぐねていると

「最近なんか疲れ気味で 気になって病院行ったんですよ・・・」

表情が不安に歪む

 

「糖尿病の手前みたいなこと言われちゃったんすよ・・・」

そんなこと告白されても糖尿病の経験も知識もほぼ無い

 

とはいっても「あ~そ~」と話を終わらせることなどできるはずがない

普段は大柄な体であちこち快活に走り回っている男の丸まった背中が

どうしたらいいんでしょうか?と問いかけているようだ

 

ささやかな知識をかき集めてかける言葉を絞り出す

「まぁここは真面目に考えて 酒とたばこと大食いはやめて

運動不足も糖尿の原因らしいから軽い運動でも始めたらどうだ 夜走るとかさ」

と ほぼ説得力も安心を与えることもない言葉しか絞り出せなかった

 

まだ糖尿病の手前の告白でよかった

糖尿病後では深刻さと重さが違うだろう

告白されるのなら軽いのにしてほしい

 

私の告白です

軽いやつです

これは親兄弟にも友達にもまともに話したことはありません

子供の頃の体験なのですが

どうせ信じてはもらえないだろうし

普通で考えれば「夢でもみたんだろう」で済んでしまう内容だからです

 しかし私には妙にリアルで記憶に残る体験でした

 

5歳の頃です

山の中の部落に生まれた私は一人で遊ぶことが多く

自然豊かな山の中を冒険するのがいつもの遊びでした

 

夏も過ぎ 秋の初めのその日も山の中を走りまくっていました。

遊び疲れて何とか家の上の道にある木製のベンチに座ったまま心地いい風に

包まれながらいつしか眠ってしまいました

 

私の生まれた村は山の斜面に家がポツンポツンと点在している集落で

自分の家に帰るには山の中心をくねくねと横切るメインの道路から

歩いて山を上るか下るかしないとなりません

住人も多くありませんから人通りも淋しいものです

 

ふと目を覚ますとどうやら私は横に寝かされているようでした

そして目の前に4つの顔に上から囲むように覗かれていました

その顔はどれも同じような顔です

 

目は細く吊り上がり 顔の輪郭は細く 鼻や口は有るような無いような

頭も顔も毛はありません

ライトは無いのに何故か眩しくて 体に何かされているようですが

そのうちまた気を失うように眠ってしまいました

 

目を覚ますとベンチから少し離れた家の軽トラックの座席で父と母に

起こされました

周りはすっかり暗く私がなかなか帰ってこないので慌てて探していたようです

 

父と母にはものすごく叱られました とても心配だったのでしょう 当然です

それから山で遊ぶことはあまりしなくなりました

 

数日して兄が私の耳の付け根あたりに小さい穴が開いていると言いました。

こめかみから指四本くらい離れた耳の付け根です

触ってみると何か小さいしこりのようなものがあるようです

 

耳に穴はそれから数年はあったようです

しかし しこりは今も残っています 

強く押して触ると細長いもののようです

 

子供の頃の不思議な体験です

誰でも子供の頃はこんな経験はありますよね

 

多分リアルな夢を見たのでしょう

耳の穴やしこりも山の中で木の枝が刺さってできた傷でしょう

 

しかし 半世紀以上経った今も あの顔と恐怖は覚えています

 

 

 

貴重なお時間 

お付き合いいただき

ありがとうございます