道端をてくてく歩く
天気がよければ気分もあがる
気分があがれば見るもの聞くもの触れるもの
とても新鮮でなにかを伝えてくれるような…
裏通りの古い倉庫の軒下に
白い文字の落書きをみつけた
落書きの近くには白い塊がコロリとある
石膏の塊だ これで描いたんだね
陶器の町らしく製陶所や成型所周辺によくころがっている
陶器の量産をするために石膏の型を使うからだ
どんな落書きかな
きっと学校帰りのイタズラ小僧の仕業だろう
どんな落書きか横目でチラ見しながら通り過ぎるつもりが
ヘタクソな字だけど丁寧に書かれた相合傘
かわいらしさに足を止める
りょうたくんとみゆき?ちゃん…かな?
きっと とっても仲良しなんだろうな
私も子供の頃は落書き常習犯
どんなところもおかまいなし…場所によってはオモイッキリ叱られた
国語のノートのすみっこ
机の上
学校のトイレのドア
村の集会所のコンクリートの壁
回覧の重要事項が書かれた紙の裏…白い紙を見ると描きたい衝動に駆られる
落書きは貴重な夢想の時間
もっぱら書くのは
『鉄人28号』とか『ウルトラマン』
『魔神バンダー』なんて誰も知らないだろうな
あと怪獣だとか
さすがに『魔法使いサリー』は書けなかった…しかしサリーちゃんのパパは書いた記憶がある
相合傘はなかったなー 描けばよかったなー
描く側にとっても観る側にとっても
ヒーローや怪獣を描くより何倍も
❝こころ踊り もだえるアート❞だ
子供の頃に相合傘を描けるなんて
想像しただけで甘酸っぱくて
ものすごく羨ましい
★ 相合傘って江戸時代の浮世絵にも描かれているんですよね
当時から壁に書かれた落書きとして描かれている…1688年辺りから 由緒正しい落書きなのだ
しかも現代と傘の形も左右に男女の名前を書くところもほぼ変わらない
❝不変のシンボル❞なんですね
世界中がネットワークでつながりデジタル化されたこの2021年に
この先の時代を担う子供たちがほぼ300年前の江戸時代と同じ表現で
現代の道路の端に手書きで相合傘を描いているなんて
時代を越えた壮大なロマンを感じちゃいます
この相合傘って落書きは憎めないですよね
仲の良いカップルが書けば誓いのシンボルになるし
学校で話題のお似合いカップルを冷かし半分でイタズラ小僧が
描くとイタズラ小僧の❝うらやましい❞という気持ちと
どこか二人に対するエールを発信している様にも感じたりするんですけど
私だけなんでしょうか
この大いなる甘酸っぱい落書きは
この先の時代にも受け継がれてほしいものです
貴重なお時間 お供させていただき ありがとうございます