ものおもいのほほん

ゆるゆるとおもいのまま

たまには高い場所から飛び降りるのもいい。

今週のお題「お気に入りのTシャツ」

 

夏でなくとも冬が過ぎ、そろそろ衣替えの雰囲気が感じられる頃には、布団に入る際の服装はパジャマからTシャツになる。というか私はずぼらな性格のため家に帰るとすぐに布団に入れる服装に着替えてしまう。

早く気楽な格好に着替えて心身共に切り替えたいのである。

気楽な格好のTシャツとはいえ何でもいいというわけではなく、こだわっていることはある。難しいこだわりはない。

●通気性がいい事。

●軽い事。

●色は黒。

たったこれだけのことである。

現在使っているものは既に5~6年は経過しているんじゃないだろうか?

しかも同じものが3着あり季節になるとこれらを使いまわしている。

当然、色は変色しヨレヨレで見るからに年季の入った風情がある。

とてもこれを着て外に出歩くこと等、想像できない。

しかし、ヨレヨレだから肌になじんで手放せない。

着古したお気に入りのTシャツである。

 

 もう一つお気に入りがある。

だが、一度も袖を通したことがない。

市販品ではない。いかにも粗品であり記念品なのだ。

もしかしなくとも日本のどこかに、同じものを持っている方もいらっしゃるだろう。

 

これを手に入れたのは平成24年6月であった。

 会社の慰安旅行でグアムを訪れた。青い海、美しい砂浜、自然豊かなジャングルもあり日々の喧騒や緊迫した状況から逃れる場所としては上々なのんびり楽しく過ごせる観光地だ。

 春の繁忙期を過ごした後の旅行だから一層、有意義に感じられる。

幸せである。

 会社の仲間といろいろなところに行き美味しい料理を食べ(唯一ホテルで食べたハンバーガーは1時間半待たされて味は最悪だった)この世の春(夏?)を満喫したのだが、この時はもう一つ目的があった。

 若い社員に誘われて、海だけでは飽き足らず空のダイビングをすることになっていたのだ。

 せっかくのグアムである。強烈な記憶に残る思い出もあってもいい。

以前から、一生に一度でいいのでスカイダイビングを経験したかったのもある。

 もちろん、現地のプロのスカイダイバーが、一緒に飛んでもらうというか連れってもらうから一応安心だ。

(一応、というのは飛ぶ前に、【死んでも知らないよ】という誓約書を書かされるため)

誘われた時も絶好のチャンスと思え、二つ返事であった。

確か帰国前日だった。朝から少々曇り気味の天気だったので少々不安に思っていたが

昼頃には程々青空が広がり、いい感じの天気に恵まれた。

 広い飛行場横のスカイダイビング事務所に到着、日本人スタッフも常駐でいろいろな説明を受けた後、どの高さから飛び降りるかの選択に迫られた。当初予約段階では確か

2400メートルから飛び降りるという話だったのだが、『その高さだと、あっという間に地上についてしまい楽しくないし後悔するよ』という日本人スタッフからの話から始まり、若い連中もかなり前向きに迷いだした。

 みんなで4200メートル上空から飛び降りよう!ということに決定。

こちらも若気の至りに付き合うことになってしまった。

 刻一刻と順番が回ってくる。一組目の日本人のグループの二十代前半だろうお兄さん達が、興奮冷めやらぬといった感じで『もう最高!楽しかった!』と日本人スタッフに話しかけている。それを聞いて私も期待に胸を膨らませてワクワクした気分になってきたが、ふと横を見たらうちの会社の若い連中の顔が暗い。なんだ、どうしたと話を聞くと不安が大きくなって緊張してきたとのこと。

それが正しい反応だ。

そりゃ普通に怖いよね。

 ようやく待ちに待った順番が来た。お世話になるスカイダイバーの方とアメリカらしくハイタッチで挨拶をして10人乗りほどのプロペラ飛行機に乗り込む、スカイダイビング用なのか座席らしいものはなく中央に運転席に向かって真っすぐまたいで座るベンチがあるだけ。飛行機自体も余計なものはついて無くかなり軽量な造りで壁が薄い感じである。まるでドラム缶の中に座っているような感じだった。

 担当のスカイダイバーとベルトなどでしっかり固定される。背中にピタッと背負っている感じである。

 ちなみに私の担当のスカイダイバーは女性であった、誤解しないでほしい、変な意味はほぼ無い、ちょっとだけ男に抱き着かれるよりはましかと思う程度である。

その程度だがちょっとうれしかったのは認めよう。

 話は少し戻るが飛行機に乗り込む際に降りる順番が決められる。

基準は体重が重い順である。

一番は当時24歳のうちの女子社員、身長が高くふくよかな体つきである。

二番目は若手の男子社員 ラーメン大好き男 満腹命のふくよかな肥満体である。

三番目は男子社員 太ってはいないが背が高く大きく見える。

四番目は私 体重63㌔ 身長163㌢のおっちゃん。

五番目は女子社員 小柄な体系である。

 理由はいまだにわからないが体重の重い順には違いない。

性別年齢関係なく容赦なく選別される。若い女の子には少々酷ではなかったか?

今でもたまに語り草になっている。お気の毒様。

 飛行機が動き出し離陸したかと思えば一直線に空に向かって飛んでいく。

でも気圧の関係でちょっとは旋回していた記憶もある。

期待の横のドアは開けっ放しであった、最初から。

多分、いきなりドアが開いて恐怖に襲われるより、徐々に上がってくのをながめていた方が心の準備ができるためだろうか?

そのおかげかどうか、私はずーっとそこから外を眺めていた、不思議と恐怖は無く緊張もなく「期待いっぱい胸いっぱい」だ。

 

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地球は間違いなく丸い。 ここはもう大分地面に近いところ

  20分程は立っただろうか?運転席から合図がありとうとう4200メートル地点に到着したようで、ダイバーの方たちが『よし!いこーぜ!イエーッ』みたいなノリで

盛り上げてきた。若い連中は顔は見えないが硬直しているのは感じた。

 パカッと開いた出口からダイバーに支えられながら最初のふくよかな体が完全に外に出た状態でスタンバイされる。後はダイバーのタイミングで落ちていくのである。

 それを見た瞬間は大分恐怖であった。血の気が引いた。最初ってかわいそう。

 と思っていたら落ちていった。飛び降りるのではなく落ちてった、スルッと。

次はふくよかな肥満体、次は背の高いのが落ちてった、で私。

 体が最初に外に出たとき実は恐怖で目をしっかり閉じていた。

宙に浮いて体が回転しているときも目を閉じていた。

ようやく自分の体が下で背中に人の気配がしたところで初めて目を開けた。

 真下は見ていなかった。ものすごい風圧で息もままならない。目線は少し下向きの

水平線にあった。水平線だが湾曲している。砂浜から眺める水平線とは全く違う。

 ガガーリンではないが、地球は青かった、もよく分かったが、地球は丸かったことも

よく実感できたのである。まさに目の前にあるのは紛れもなく丸い地球の一部分があった。

 怖さもなく、ただただ美しい風景、青い海 緑の大地 青い空と白い雲 それらが

実感として目の前にある。簡単に言うと 【感動】だ。

 どのくらい経ったかもっと見ていたかったが、地上がどんどん迫ってくる。

それと同時に夢から覚めていくようであった。

いい夢見てたのに出勤の月曜の朝に目覚める感じと言ったらわかるだろうか?

夢の世界が名残惜しい。

 ダイバーからパラシュートを開くよという合図が出る。ものすごい勢いで上に引っ張られる。体勢はぶら下がった状態に、今までの飛んでいる感じとはもう違う。

しかしまだ景色は良かったが大分現実味のある美しさに変わる。よくある風景だ。

そしてパラシュートでぐるぐるとものすごい勢いで回転しだした。

ジェットコースターより過激な加速である。

だんだん気分が悪くなった。酔ってきそうである。

そして何事もなくスーっと着地。さすがプロのスカイダイバーだ、感謝。

全然安心である。

完全に夢から覚める。

 その後メンバーが集まり、無事にスカイダイビング終了しましたという

証明書(賞状みたいな)をもらい記念撮影。

事務所に戻り40分ほどたってから一人一人に今日の様子を記録したDVDと

記念のTシャツをもらった。それがこれ。

 

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 いかにも日本人向けのベタなシャツでしょ。

 

 こんなTシャツですが、こんな稀な経験をした記憶のある思い出の品です。

チャンスがあればもう一度経験したい。