今まで住む場所を変えたことはそんなに多くありません。
生まれてからこれまで6ヶ所です。
故郷からは遠く離れた場所で暮らすことに
淋しさを感じたこともありましたが、離れることで
郷愁の念から故郷の良さを再認識できるので
それも意義があると思えます。
なので自分にとってこの距離感は居心地がよく
又、今を生きるこの場所も何十年かけてしっかり根を下ろし
私のふるさととなりました。
もうこれ以上は住むところを変えることはないでしょう。
そういうことも含めて、おかげさまで今住んでいる場所が
自分には最高に居心地が良いのです。
精神的には落ち着いて暮らせる場所ですが、生活をするという目線で考えても
徒歩10分圏内に、スーパー、病院、床屋、居酒屋、ラーメン屋、駅、
バス停・・・と必要以上に乱立・点在していますので困ることはありません。
でもこれは時代が進んで世の中便利で生活に困らなくなった結果ですよね。
時代を遡ると精神的にも生活環境もあの頃は少々大変でしたね。
会社員になって初めて移り住んだ場所は、田んぼの真ん中を埋め立てられた土地に
ポツンと建てられた平屋で3部屋ありました。
私は真ん中の部屋、両隣はご夫婦が住んでいらっしゃって右隣のご夫婦には
「余って困ってるからこれ食べて」と煮ものとか、野菜とか時々いただいた
りして色々助けていただきました。
左の部屋のご夫婦には布団を干しっぱなしで出かけてしまい突然の雨で❝しまった!❞
と急いで帰ったら布団を取り込んでいただいてたりと一人暮らしで駆け出しの
若い兄ちゃんだったこともあって住人の方々には大変お世話になりました。
ただ住んでらっしゃる方々は大変親切でありがたかったのですが
この部屋は住むにはありがたくないこともありました。
まずは、ゴキブリがすごかった!
台所はいつもきれいにするように心がけていましたが、掃除しても
数日で床にゴキブリのタマゴが産卵&散乱です。
台所の奥に隙間があるようでその向こうにウジャウジャいたんでしょうね。
確かゴキブリホイホイを使ったのですが埒が明かない状態でした。
次は、トイレが汲み取り式。
もちろん和式便器で本体が落ちる場所は穴が縦に空いているだけで容量がとても小さい
ので割と頻繁に市の❝生活なんとか課❞に連絡してました。
しかもお金を出して汲み取りチケットを買わなければなりませんでした。
喫茶店のコーヒーチケットじゃないんだから、「市の予算でやってよ!」と
思いましたね。
こんな簡易的なトイレでしたから狭くて汚くて臭かったなぁ。
そして、おまけに心霊現象が少々。
朝たまにありましたが、突然目が覚めて慌てて立ち上がると床一面に金色に輝く
靄が漂っていて唖然としてその場でじっとしているとスーッと靄が床に吸い込まれて
元の畳の部屋になったり、目覚ましが鳴ってもなかなか起きなかったりすると耳元で
「おい!」と声をかけられて飛び起きたり・・・ありましたね。
新しい環境で疲れていたんでしょうか。
その後、家賃が給料の3分の一で生活も金欠で大変だったこともあり1年経たないうち
に隣の市に引っ越しました。
荷物は少なかったので引っ越しは簡単。
不動産屋で「家賃が安くてトイレが汲み取り式ではない所」を相談。
紹介されたのが築数十年の2階建ての木造ボロアパート。
8部屋あって6人住んでいました。
6畳1K、和式トイレは水洗、風呂なし、冷暖房皆無。
南向きで窓から差し込む光に安らぎを感じて7人目の住人になりました。
家賃はすぐ目の前の大家の爺さんに毎月現金払いのシステム。
2階の部屋でしたが、引っ越しの御挨拶に各部屋周りました、真面目でしょ?
でもちゃんと挨拶できたのは3人だけ、後は留守か居留守。
部屋の壁は薄くて右隣のオッチャンはちょくちょく彼女のおばちゃんがきて
会話から何から丸聞こえ、その上「お金貸して~」といってきて1度だけ
貸してしまいまして、でこれがなかなか帰ってこない。
数回催促してようやく1000円回収。
結局全額回収は諦めました。
左隣の九州出身のお兄さんは方言丸出しで電話ばかりしてうるさいし。
その隣の部屋の住人は暗ーい感じの男性で、部屋から出入りする姿を一度も見ること
がなかったけど、たま~にメガネをはめた小太りの近所のおばちゃん的な方が
その部屋に怪しく入っていくのを見てなんとなく背筋が凍りつく感覚があったり。
私の部屋の階下のボロアパートに不釣り合いなBMWに乗っている住人が、
「天井から水が落ちてくるお前だろう!」と怒鳴りこんできました。
ドアを開けたら突然そんなことを言いだすのでこちらも少し感情的になり
「疑うんなら確認しろや!」と部屋の中を見せたんですが、水が畳に沁みている
なんて形跡が全くないとわかると何かブツブツといいながらバツの悪そうな顔して
そそくさと帰っていきました。
実はその二日くらい前にポットのお湯をドバっとこぼしてたんですよね。
時間差があったんだね、天井から落ちてくるまで・・・。
そして湿度MAXの、ある暑い夏の日曜日、万年布団の上で大汗をかきながら
大の字になって熟睡していると突然入り口のドアが開いて大家の爺さんが乱入
してきて何やら大笑いしている。
若い男が熱い部屋で昼近くまでテントを張って大の字に寝ている様が
そんなにおかしかったのだろうか。
「トイレの水が止まらないっていうから直しに来たよ」ときいて納得。
ドアをノックもせず、大家が合鍵で勝手に人の部屋に乱入できる時代。
懐かしいな~。
住むところの良し悪しは周りの環境によるところもあるかもしれません。
そして良いことも悪いことも混在するものですよね。
『住めば都』と自分に忖度すれば余程ひどい環境でない限りは
なんとか住めるもんです。
最後までお読みいただきありがとうございます。